BABYMETAL さいたまスーパーアリーナ 新春きつね祭りライブレポート

音楽

BABYMETAL2015年一発目のライブである新春きつね祭に行って来たのでレポート。単独公演としては過去最大の会場となるわけだがチケットはソールドアウト。2万人ものメタラーやドルオタやその他なんだかよくわからない人達がさいたまに集結してきたわけだ(基本みんな服は黒い)。
babymetal_さいたまスーパーアリーナ_Aゲート新春きつね祭

物販の様子

午前中から物販に並ぶなんてのは人気アーティストなら良く有るんだろうけどもはや一日潰れるよね。潰れるって言ったらすげえネガティブだから一日まるまる好きなアーティストに関われるなんて素敵、ってことにしとこう。私はいつも開演直前に行くんだけどね。だってグッズなんて手を出したら泥沼に嵌るのわかってるから。という典型的なエクスキューズを用意しつつも余ってるなら買ってやってもいいぜ(なんで上から?)。
babymetal_ssa_物販行列_開演前
会場時間くらいに到着したのだが比較的スムーズに物販の列が動いているので並んでみた。

新春きつね祭_注意事項
お支払いは現金のみDEATH


旗とかTシャツとかパーカーとか。


この時点で全部売り切れてるのはプレミアムなTシャツのみらしい。


大人数をさばくためにレジ数も多め。レジってか電卓なんだけどね。


HMVのブースでは私が到着した時点で特典のおみくじが終了してた。メンバー直筆の年賀状や絵馬が当たったみたいDEATH


売り子は巫女さんの格好。かわゆい。

入場

私は今回200レベルのスタンドからの観覧である。Batteryが流れる中会場に入った。やはりエンドステージか。が、左右に出島的なミニステージ(朱色で山なりになった和風の橋が架かっている)、さらに中央のやや前方寄りにミニセンターステージ的なものを発見。花道無いしあの飛び地にはどうやって行くんだろう?下から飛び出てくる舞台装置でもあるんだろうか。AとBは言うに及ばないが、ぱっと見アリーナCが思ったよりも良いエリアに見えてくる。幕張の汚名返上といったところか(拙記事:幕張アリーナCの悲劇)。
200レベルで列も前寄りだった私の席は中々の良席だと思う。軽くガッツポーズ。骨さん達が会場を煽りいよいよテンションは高まってくるのである。

ライブ開始

メタルレジスタンス第三章の始まりを告げるオープニングムービーが流れ、棺が降臨する演出で3人がステージに現れた。1曲目はメギツネ。イントロに合わせて3人が歩き出す。すると天井からなんと橋が降りて来た。それが飛び地だった中央のステージへの花道となったのだ。その発想は無かった。会場からどよめきが起こる。橋を渡り離島に降り立った3人を見届けるようにイントロから本編へとなだれ込んだ。会場が一斉にそれそれそれそれと叫ぶ。2万人のそれそれ。圧巻。
2曲目は「いいね!」。私が個人的にKOS光線と呼んでいる緑色のレーザーが会場を貫く(Underworldのライブでking of snakeになるといつもこれを浴びれたので緑レーザーにはもはやその印象しかない)。ヒップホップパートであるアタママワセ・メガネハズセが久々に見れた驚きと、コールアンドレスポンスの「えっすえっすえー(SSA)」が一際印象に残った。
実はこの序盤の2曲、先月聖誕祭に行った方ならご存知だと思うがどちらも豊洲でやらなかった曲だ。あの時の微妙なわだかまりはここで一気にカタルシスに変わる(狙ってたなら策士だね)。そして共にアイドル史上最も凶悪なブレイクダウンがある曲である。メギツネのさくらさくらブレイクダウン、いいね!の黄金虫ブレイクダウンはギミチョコ前夜のBABYMETALをメタラーに納得させる上で欠かせないものだった。ヘヴィネスここに極まれり。
3曲目は聖誕祭で披露された新曲(タイトル未定)だ。聞くのは2度目だがやはりイントロからもうMADにしか聞こえない。最初に聴いた時よりも良曲に思えたのはいつも新曲を不意にやられた時はポカーンとしてしまうだけでちゃんと聴けてないからだね。
SUソロ曲である紅月とYUIMOAのユニット曲おねだり大作戦で各メンバーの必然性と必要性を再確認する…なんて述懐してるが私は馬鹿みたいに盛り上がってただけである。MOAMETALがSU-METALの股の間をくぐらなかったのが衝撃的だったキャッチミーではアリーナ各ブロックに自然発生的に巨大なサークルが現れみんなぐるぐる回っている。楽しそう。
UKIUKIミッドナイトでは先述のKOS光線がまた会場に放射される。EDM的アプローチの曲にはこれが来るというベタな潔さがベビメタの良さとも言える。
メンバー初の作詞作曲である4の歌が会場を揺らす。やっぱ音源よりもライブだよなあ、を一番感じさせてくれるのがこの曲というのは皮肉なものである。
変拍子が乗りにくい悪夢の輪舞曲はただひたすらSUを眺める。なぜ17歳になったばかりのコがステージ上でここまでのカリスマ性を見せるのだろうか、と思っていたら急に中央の橋がSUを乗せたまま上昇を始めた。武道館でのYUIMETALの転落を目の前で見てちょっとトラウマになってるからヒヤヒヤものだった。
CO2ガンを客席に噴射しまくった(浴びたかった)ヘドバンギャー、一段とサウンドのエッジが立っていたギミチョコを経てイジメ、ダメ、ゼッタイの英語の前口上が映像と共に流された。日本語版で言うところの「ロンゲのお兄さん」はフォトセッションをしてくれたMetalmaster達なんだけれども(ロンゲじゃないお兄さんもいたね。しかもお兄さんてかおじさんだよねっ)、BABYMETALのメンバー達はこのレジェンド達と相対する凄さをわかっているんだろうか。アリーナはもうWall of deathの準備万端といった具合に合図となるSUの咆哮を待っている。海外の地で、そしてここ日本で「死の壁」を作る少女達。NHKが表した様にこれは「現象」だ。鬨の声と共に走り出す人々。私はスタンドからそれをうずうずしながら見ていた。

アンコール

本編終了後、鳴り止まない手拍子。散発的に現れては消える「we want more」の声。豊洲ではこれが切なく響いたものだが今回はしっかりと再登場してくれた。
自己紹介曲であるBABYMETAL DEATHに続いて、彼女達の原点であるドキドキモーニングを披露してくれた。可愛いとメタルの絶妙なバランスは最初に既に完成していたということを2万人に納得させる曲である。
そして最後の曲は、Road of Resistanceだ(タイトルTHE ONEじゃなかったね)。以前の記事でこの曲について私なりの想いを書かせてもらったが、この曲がこんなにも大きな会場に合うとは思っていなかった。大合唱の最中客電が点き、私達が現在進行形のレジスタンスに参加している事を再確認させられた。きっとフェスでも会場のシンガロングがこの曲を間違いないアンセムにしていくだろう。
最後の映像では次の国内ライブが幕張メッセの展示ホールにてオールスタンディングで行われるということが発表された。

戦国wall of deathとTHE ONE

今回新たにメタルレジスタンス第三章<Trilogy>のストーリーに「戦国wall of death」というテーマを掲げてきた。アイドル戦国時代は終焉に向かいつつある、若しくは既に終わっているという風潮のこの2015年に敢えてまた戦いのギミックを注入して来た意図は何なのだろうか。
勿論BABYMETALはアイドルとの戦いはもう終わっている。メタルレジスタンス第一章が「巨大勢力・アイドルとの戦い」だったことを考えれば第二章で海外にその活路を求めて旅立って行った時点でもはやそのテーゼは無効化されている。良く言えば「いち抜けた」立場だったわけだ。単純な売り上げでは勿論天下を取っているとは言えないが、彼女達が残している足跡はCDの枚数では測れない偉業である。
THE ONEとは何か。それは戦国wall of deathの果てに統一された世界のことだ。新世界秩序の象徴とも言うべきフリーメーソンのあの記号をTHE ONEは模していることからも明白だろう。
メタリカのONEという曲をご存知の方は思い出して頂きたい。あの曲は戦争の為に手足を失った人間が社会から孤立した状態、たった1人(ONE)になった様を表した反戦歌だ。「ジョニーは戦争へ行った」のシーンが効果的に挿入されたあのPVの中で大人と子供が「民主主義って何?」「戦争に行かされることだよ」こんな禅問答のようなやりとりをする(民主主義の象徴とも言える選挙が売りのアイドルグループが事実上天下を取っていることは興味深い)。
ONEがたった1人なのだとしたらTHE ONEは何だろうか。すべてが1つになった世界だ。争いの果てに、争いの無い世界を目指す。それが戦国wall of deathでありTHE ONEなのだろう。人類補完計画のように全てが渾然一体となるのでは無くお互いの差異を認めながらも共存する世界。実際これは夢物語だろう。ただ、夢を語っても良いある種の人々がいる。それは、子供であり、あるいは無垢な存在であり、そしてアイドルである。世界はひとつ、と歌うイッツアスモールワールドが子供しか登場しない箱庭であるのが良い例だ(拙記事:ディズニーで最怖のアトラクション、イッツアスモールワールド)。そう、我々大人は知ってしまっている。世界をひとつにするなんて不可能だ。でも、メタルの名の下になら、出来るのかもしれない。ナンバーワンよりオンリーワンでいいと歌った男性アイドルグループの曲がオリコン1位を取ったように、世界はいつだって逆説的なのだから(あの歌嫌いだけどさ)。

おわりに

いちいち深読みし過ぎてしまってる感は否めないものの、ライブはとても満足の行くものだった。あの曲数でモッシュピットだと疲れてしまい完全燃焼だろうが、今回スタンドだったため体力的にはまだまだ余裕が有りそのせいでもっと欲しくなってしまった。まさにwe want more状態。発表されてるオリジナル曲はほぼ全てやっているのにね(No rain,No rainbow聴きたかったな)。そういえば新春感は物販のおみくじ等とステージセットの橋のみだったかな?あ、神がソロの中で正月ぽいフレーズ(春の海?)入れてた。

ともあれ初のSSAで、なかなか良い2015年のスタートが切れたんじゃないかと。今年もBABYMETALから目が離せないな。どんだけでかくなってくれるんだろうか。日本語で歌うアイドルがメタルの覇権を握るとか、漫画でも編集からありえないって駄目出しくらうレベル。漫画で思い出したけど新ビジュアルイメージの長い耳が立ったマスクはジョジョのD4Cっていうスタンドに見えて仕方が無い。7部のボスのパラレルな次元を行き来するっていうスタンドなんだけどさ、AC/DCの曲名が由来になってるからHR/HMって意味じゃ共通点が…なわけないか。てもうライブの余韻でうだうだと話が尽きなそうなのでこの辺でSEE YOU.

BABYMETAL さいたまスーパーアリーナ 新春きつね祭り セットリスト

01・メギツネ
02・いいね!
03・新曲(タイトル未定)
04・紅月-アカツキ-
05・おねだり大作戦
06・Catch me if you can
07・ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
08・4の歌
09・神バンドソロ〜悪夢の輪舞曲
10・ヘドバンギャー!
11・ギミチョコ!!
12・イジメ、ダメ、ゼッタイ
EN1・BABYMETAL DEATH
EN2・ド・キ・ド・キ☆モーニング
EN3・Road of Resistance

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